2012年03月22日

死刑廃止否定側立論

第15回例会の練習試合で酒賀家チームが読んだ立論原稿です。


※注意!!
あくまで競技ディベート内での発言です。
「DEARくまもと」は死刑存置論者の集まりではありません!






否定側立論を始めます。定義は肯定側に従い、現状維持の立場をとります。
プラン導入により発生するデメリットを2点述べます。

デメリット1「遺族の無念」

現状分析です。殺人事件の被害者遺族たちの社会運動や世論の動きを受けて、刑事裁判において被害者遺族がようやく尊重され始めています。
証拠資料「重罰化は悪いことなのか 2008年 藤井誠二 より引用開始
被害者が声をあげるようになったのは、これまでの法律や制度があまりにも被害者を軽視し、無視していたからです。当事者の一方の側なのに、発言権も知る権利もない。応報を口にすることさえも、おさえつけられてきた。(中略)
いままで排除されてきた被害者の声が、世論のバックアップもあって大きくなり、それに乗っかるようなかたちで国家権力の側が厳罰化を進めている。こうして刑罰に報復という要素を取りいれるような、新しい権力と暴力のあり方が生まれてきた。(中略)
国家対加害者の関係だけでやってきた近代刑法にとっては、革命的で質的な変化だと思います。

引用終了。
また、検察統計年報によれば、2003年まで毎年5件前後をキープしていた死刑確定件数も、2004年から増えだし、2006、2007年には20件を超えました。これは被害者遺族たちのたゆまぬ努力によって実現した成果といえます。その努力の具体例として、光市母子殺害事件の遺族である本村洋さんを挙げます。この事件は1999年山口県光市で、当時18歳の少年により、本村さんの23歳の妻が殺害後屍姦され、生後11カ月の娘も殺害された、史上稀にみる凶悪犯罪です。
証拠資料 殺された側の論理2007年 藤井誠二 より引用
事件直後から本村さんはメディアに己を晒し続けた。泣きながら妻と娘の遺影を胸に抱えて裁判所に一人で入っていく姿や、判決後の記者会見の席にただ一人座り、怒気を全身に漲(みなぎ)らせ、「少年という理由で死刑にできないのなら、いますぐ社会に犯人を戻してほしい。自分の手で殺します」と言い放つ姿は、犯罪被害者遺族という存在を社会に知らしめた。殺された側の嘘偽りない激情を露にする彼の言葉は、叫びたくとも叫ぶことができなかった被害者遺族たちの共感を得ると同時に、世間の犯罪被害者や遺族に対する関心を高める大きな一因となった。逆に言えば、それまで被害者側の姿をメディアは正面から取り上げ無さすぎた。
引用終了。
今月14日、被告の死刑が確定しました。本村さんの13年の努力が、ついに実を結んだ瞬間でした。

デメリットの発生過程です。プランにより死刑が廃止されれば、被害者遺族が苦労して勝ちとってきた成果が奪われます。被害者遺族は、愛する家族を殺した殺人犯に、報いを与える唯一の手段を、奪われるのです。

深刻性「遺族の無念」
殺人事件の被害者遺族がどれほどの無念を抱くことになるのか。先ほどの本村洋さんの例でもわかるとおり、被害者遺族は「死刑にしてくれないなら自分の手で殺してやりたい」というくらいの悔しさと悲しさ、無念を抱えているのです。それをジャッジの皆さんにはご理解頂きたいと思います。
このような遺族の心を殺すことになるこのデメリットは、大変深刻です。


デメリット2「再犯」

現状分析1「死刑囚は更生しない」
そもそも死刑とは、凶悪な殺人犯のうち、更生の余地がないと判断された者に課せられる罰です。
彼らは更生しないのですから、仮に社会復帰した場合、確実にまた犯罪をおかします。

現状分析2「殺人の再犯率」
平成22年度版犯罪白書によれば、殺人犯の(満期釈放者の)再犯率は43%です。内訳の大半は暴力事件や窃盗・強盗などですが、殺人も0.8%あります。
つまり、更生の余地があると判断された殺人犯でさえ、約4割は出所後に市民に危害を加え、100人に1人は全く反省せずに再び人を殺しているということです。
更生の余地がないと判断されるような殺人鬼が出所すれば、また犯罪を犯すのは間違いないでしょう。

発生過程です。死刑を廃止すれば、本来の死刑囚は無期懲役になります。無期刑の囚人は平均約30年、早ければ10数年で仮釈放され、社会に戻ってきます。現状分析でも述べたとおり、彼らは確実に再犯し、市民に危害を加えます。再び人を殺すケースもあります。よってデメリットが発生します。

深刻性です。
深刻性1「年間10件の再犯」
デメリット1で述べたとおり、現在、死刑確定件数が年間で約20件あります。仮に半数が獄中で寿命を迎えたとしても、10人は社会に戻ってきます。彼らは確実に再び罪を犯し、市民に危害を加えます。毎年10件の新たな凶悪犯罪を生むこのデメリットはとても深刻です。

深刻性2「安心できない社会」
どんなに凶悪な犯罪者でも、いつか社会に戻ってくる。こんな状態では国民は安心して生活することができません。一例として1995年に起きた地下鉄サリン事件を想像してみて下さい。何の罪もない人をのせた地下鉄で毒ガスを撒くという凶悪犯罪は、あまりに凶悪過ぎて模倣犯すら出ていません。首謀者の死刑も先日確定し、ようやく一段落ついたこの事件ですが、死刑が廃止されれば、この事件の犯人たちが社会に復帰する可能性もあるのです。これじゃオチオチ電車にも乗れません。
国民が安心して生活できなくなるこのデメリットは大変深刻です。

以上で否定側立論を終わります。ありがとうございました。



posted by DEAR at 22:12| Comment(3) | 例会記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月21日

死刑廃止肯定側立論

第15回例会の練習試合で酒賀家チームが読んだ立論原稿です。


※注意!!
あくまで競技ディベート内での発言です。
「DEARくまもと」は死刑廃止論者の集まりではありません!




肯定側立論を始めます。よろしくお願いします。
定義です。ここで死刑とは、受刑者の生命を剥奪する刑罰を指します。
プラン@ 2013年より死刑判決を出さないこととします。
A 確定している死刑囚は、無期懲役とします。
B プラン導入までに国内外への周知徹底を図ります。
C その他、法的に必要な措置を講じます。

 まず、我々の基本的立場を説明します。
どんな場合であっても、人を殺していいということはありません。死刑制度は「国家による殺人」です。殺人を犯した加害者ならば殺してもよいという考え方は前近代的で野蛮です。21世紀に生きる理性的な現代人には、相反するものです。日本は、加害者に対し冷静で正当な刑罰を科さなければなりません。その観点から、死刑を廃止すべきであると主張します。
この観点からメリットを説明します。

メリット1 生命の絶対的尊重
死刑執行によって、命を奪われる可能性がある人をA「犯罪加害者」、B「冤罪被害者」に分けて論じます。

A 犯罪加害者
 どんなに凶悪な犯罪の加害者であったとしても、国家がその生命を奪うことは許されません。EU基本権憲章より引用します。
(はじめ) あらゆる人は生命に対する権利をもつ。何人も死刑を求刑され、または執行されてはならない (おわり)

欧州評議会のオブザーバー資格を持つ国で、死刑を執行しているのは日本と米国だけです。EUは日本に何度も死刑の廃止、停止を求めています。
日本の刑罰は重いか軽いか 2008年 王雲海(おううんかい、一橋大学法学研究科教授)P65 より引用します。
(はじめ) EU(欧州連合)は、既にメンバーである国に対しても新たに加盟しようとする国に対しても、人権保障や死刑廃止、受刑者の処遇などの、非経済的で比財産的法領域における統一した法律基準の樹立を強く求めている。(中略)日本はEUのオブザーバーとして関わりを持っていて、そのため毎年EUから死刑廃止や受刑者処遇状況の改善を強く警告されているのである。(おわり)

肯定側プランの採択は、国民の生命を守ることであると同時に、EU諸国を始めとした国際社会に人権に配慮した現代国家として認められることを意味します。

 さらに、死刑には無実の人の生命を奪ってしまう危険が内包されています。ここから B 冤罪被害者
について説明します。人間は間違いを犯すものです。しかも、現在の司法は冤罪が起こりやすい構造になってしまっています。チェック機能がないからです。
松本サリン事件とオウム関連事件 フォーラム 2004年 冤罪と死刑の構造 対談のまとめ より安田 好弘(やすだ よしひろ)弁護士の発言を引用します。
私は弁護をしていて思うけれど、警察・検察・裁判所はチェックする機能がほとんどない。証拠も見直す機能がない。自白調書も見直す力がない。だから冤罪はいくらでも起こりうる。警察・検察・裁判所がそれほど硬直化しているとは誰も思ってはいない。冤罪は冤罪として通るんだと。だから冤罪で逮捕された人は、実に無警戒で取り調べにも裁判にも臨み、ますます冤罪になりやすい。罪が重い事件であればあるほど冤罪がますます増えている。

実際に、死刑が確定したあと冤罪であると分かることがあります。
駐日欧州連合代表部ウェブページより 引用します。
(はじめ) 1983年から90年にかけて、4人の日本人が冤罪により死刑判決を受け、再審の後、釈放されました。米国では過去12年間に116人の死刑囚が、累計にして1,000年を獄中で過ごした後、死刑執行を免れました。(おわり)
また、死刑ではありませんが、冤罪、もしくは冤罪の可能性のある例は最近もたくさんあります。17年服役したあと無罪で釈放された足利事件の菅谷さんや、先日再審を請求した松橋の宮田さんなどです。

死刑はいったん執行されれば取り返しがつきません。遺体を無罪とし、生還させることはできないのです。しかし、実際に台湾では昨年、無罪の軍人が死刑になってしまいました。
弁護士 山内憲之さんのblog (2011年2月10日) より引用します。
(はじめ) 台湾で最近、冤罪つまり無実の罪で死刑にされた人が出たらしい。幼女を暴行し殺害した容疑で、台湾の軍人が軍事裁判にかけられ、処刑されたあとになって、真犯人が見つかったのだそうです。(中略) 誤審、冤罪というのは、その可能性を常に否定できないという、まさに実例です。(おわり)
 日本でも、人知れず死刑になっている冤罪被害者がいるかもしれないのです。これは大変深刻な問題です。

 以上で肯定側立論を終わります。ありがとうございました。


posted by DEAR at 22:48| Comment(0) | 例会記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月20日

第15回例会記録

おはようございます、酒賀(夫)です。

3/20(火祝)、五福公民館にて第15回例会が開催されました。
今回の参加者は総勢10名。午後のみの開催となりました。

最初の30分で恒例の1分間自己紹介スピーチ。
その後30分間使用して、死刑論題についての簡単なレクチャー。
残りの時間は、ディベート甲子園ルールで練習試合を2試合行いました。

本日は福岡ディベート研究会(FDS)から鎌田先生をお招きして、
練習試合の講評・判定や、技術指導をしていただきました。
おいしいお菓子まで持ってきていただき、本当にありがとうございました!



さて、詳細な内容についてですが、報告は以下のようにします。

・レクチャーは後日レジュメと一緒に動画(音声のみ)を公開します。
・練習試合に関してはひとまず非公開とさせていただきますが、
 今年のディベート甲子園終了後に公開します。

甲子園までの間は、試合の動画を公開できないことが多いと思います。
負けたら終わりのトーナメント戦で、大会前に立論を公開するのは
どうしても不安があります。ご了承頂ければ幸いです。



その代わりと言ってはなんですが、今回酒賀家チームが使用した立論のみ
後日このblogに掲載します。反駁の練習にでもご利用下さい。
立論の掲載はあまり遅くならないようにします。遅くとも今週中?



次回例会の予定等についても、立論掲載時にお知らせします。




それでは、今日はこの辺で。



※Twitterを利用されている方は是非、「@deardebate」の
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posted by DEAR at 23:38| Comment(1) | 例会記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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